人生を偲ぶナレーション
葬儀のナレーションを作成するとき、常に念頭にあるのは故人への敬意、そして遺族の思い…何を一番言ってほしいのか。わずかな打ち合わせの中で、言葉にならない相手の思いを敏感に感じとり、それを言葉に表すことである。「想い」を「かたち」にするとでもいおうか。ところが、先日は思うようにできず、次回への大きな教訓となった。
「DVDを流しながらナレーション」というのを、通夜、葬儀と2本作製したのだけれど、写真の入手が遅れ、DVDを外部委託、業者が写真を選び年代順に並べてDVDを作成したのである。イベントやブライダルのDVDをよく作成しておられることから、テンポの良い写真の切り替わりが懸念されたため、「一枚一枚をじっくりと長めに」とだけ伝えて、さぁ完成。だが、予想通りこちらがナレーションで伝えたいこととは大きくずれた内容であり、現場で合わせるのが大変で、それなりにベストは尽くせたが、音響と、映像とナレーションのトリプル効果は、正直達成できなかったと思う。もちろんDVD制作業者には、何の落ち度も責任もない。きっちりと仕事はしてくれているのだから。
DVDがあるときは、その説明に終始してはただの説明、プレゼンテーションであり、人の心に響くナレーションにはならない。次回は、まずナレーション情報の入手、大まかな構成を考えたのちに、DVD製作へという流れにすること、そして社員がDVDを作るスキルを身につけるように要請した。
2012/4/11
お義母さん、ありがとうございました
先日執り行われた式の故人は、某大学医学部の名誉教授であられ、医学界へ多大な貢献をされたお方でした。
私生活にあっては先立たれた奥様との間にお二人のお子様がいらして、そのお子様方が成人されたころに再婚され、以来その奥様が公私ともに故人を支えてこられたようでした。
晩年、脳梗塞を患われた時も、献身的な看護を根気よく続けられ、歩けなかった御主人が歩けるようになり、言葉もしゃべれなかったのが、数年をかけてしゃべれるようになり…と、そばについておられどれほどの御苦労をされたのだろうかと思われました。
その葬儀もほぼ終了し、前妻の御長男が喪主を務めてあいさつをされましたが、最後に「こんなところでなんですが…」と始められると、ご親族が全員立ち上がられました。そして、お義母様の御苦労をねぎらい「お義母さん、これまで本当にありがとう!」とみんなで奥様に頭を下げられたのでした。
どんな言葉よりもうれしいお言葉だったに違いありません。綾戸千絵さん似のお話し好きな奥様も、その時は涙と笑顔で言葉にならないご様子で、うなずくばかりでした。悲しい中にも心温まる1シーン、今も心に残っています。
2012/4/3