突然の旅立ち
友人が突然逝った。「脳幹出血」だったという。工務店を父上と二人で切り盛りし、大工の棟梁として確かな技術に定評があった。我が家も2回の引っ越しの中で、使いやすいようにとあちこち手を加えてもらった。困った時にはいつでも相談に乗ってくれる頼りになる大工さんだった。
私はずっと彼のことが気にかかっていた。50を超えていまだ独身。本人は独身主義ではないけれど、仕事柄女性と知り合うチャンスがなかったようだ。気は優しくて力持ちの彼が早く伴侶を見つけてくれたら…そんな彼がとうとう彼女を見つけ、来年早々結婚することになっていた。私は結婚式の司会をしてあげようとひそかに思っていた。それなのに、夕食後のくつろぎの時、突如帰らぬ人となった。
逝った人もそうであろうが、残された人の無念は想像するに余りある。自分の寿命はわからないが、少なくとも送る側の立場に立った時、親や家族に自分のできることは精一杯しておこうと思うのはそのためである。自責の念に背負って生きていかなくても済むように。そしてこの世に思いを残したまま旅立たなくてもいいように。
2012/8/17
さすが、ご住職!
先日大企業の創業者の奥様のお葬儀を担当させていただいた時のこと。通夜の直前に、導師とは別のご宗旨の長老と管長が突如お見えになったのである。なんでも故人とは親しくなさっていたらしい。あわてて導師と相談し、ご焼香のトップに「特別焼香」として案内させていただくことになったが、どの焼香鉢を使っていただくかは言い出せなくて、結局一般焼香用でという導師の指示のまま、ご焼香を案内させてもらった。
さて葬儀当日、またもや長老が暑いさなか遠路はるばる御臨席くださった。かなりのご高齢で、車とはいえお疲れがうかがえる。私としては、ご焼香を導師の焼香鉢でしていただきたいが…と考えながら打ち合わせへ向かった。葬儀では、ご住職が導師をお勤めになり、ご子息すなわち昨夜の導師は、脇導師をおつとめになる。
私がおそるおそる「どちらでご焼香を?」と伺うと、ご住職は「私のところでしてもらったらいい。」とあっさり言って下さったのである。ご子息は不服そうにおっしゃったが、ご住職はご自分の椅子の位置などを私に指示した後、ご子息をたしなめるようにおっしゃって「何の問題もない、大丈夫」と涼しいお顔でおっしゃった。
焼香の儀も無事終了し、導師退場の折には最前列にお座りの長老に軽く会釈をなさると、長老も丁寧にお辞儀をされ、お互いを尊重しあうその行動に感銘を受け、さすがご住職!とその配慮に感銘をうけたお葬儀でした。
以前会長が担当なさったとき、「猊下(げいか)」という敬称を使っていらしたが、その用法を伺ってみようと思う。
2012/8/15