ささやかな幸せ
またしても明るく、仲の良かったご家族が、誠実に生きておられたご家族の柱を失ってしまわれた。
お嬢様が大学にご入学、一人住まいをすると言って出られた旅立ちの日、ベランダで目を真っ赤にして泣いていらしたというほど、お子様方を大事に育て、お優しいお父さんでもあられました。
御主人の同僚の方から、「自分は酒を飲まないし、これといった趣味はないが、週に二回、女房と朝のモーニングに行くのがささやかな楽しみです…」とおっしゃっておられたとお聞きし涙ぐまれる奥様。その朝は夜勤明け。「8時半ごろ帰るから、モーニングに…」という電話が最後のお言葉になってしまいました。「ありがとう、幸せだったよ。ありがとう」と何度も繰り返すご家族のお姿に心打たれました。
最後のお言葉を聞けたこと、それはある意味幸せなことだったのではという思いもよぎります。ある日、突然、何の前触れもなく、何の言葉もなく…と、悲しまれるご家族も、なんと多いことでしょうか。
2012/5/22
幸せの裏表
そのご家族は、それまでとても幸せであられたに違いありません。ご主人は会社を経営をされ、順調な業績を上げてこられました。5人家族。きれいでお優しそうな奥様と二男一女のお子様方。数々の家族写真がご家庭円満であったご様子を物語っていました。
何よりも健康管理に気を使っていらした御主人だったのに、何の不安材料もなかったのに、ある日突然、お一人で登山の最中に帰らぬ人となったのでした。何の前触れもなく、悲しみの底に落とされたご家族。
息苦しくなられたときに、どんな思いが頭を巡ったのでしょうか。お別れの言葉もなく逝ってしまったご主人をどんな思いで送られるのでしょうか。どんなお別れも悲しいけれど、突然逝かれた人とのお別れの悲しみは、想像するに余りあるものがあります。そして、お別れの時に立ち会いながら、自分の無力さを感じる時でもあります。一緒に悲しむことしかできることがないと…
2012/5/10